〆島ナノヒトの記憶

僕がこの世を去った時、僕に近しい人に読んでもらいたい。がコンセプトな自伝的なブログ。

僕の友達はスティーブ・ジョブズ

プルルルルルル(携帯の呼び出し音)

ピッ

F野さん「あ、スティーブ・ジョブズです」

僕「あ、ビル・ゲイツです」

僕とあなたの電話は、必ずその挨拶から始まりました。

 

 

F野さん、あなたと初めて会ったのは僕はまだサラリーマンで

その職種が故の徹夜ぶっ通しの2日目でした。

あなたは背が高く、言ってみれば「ダンディーF野」という隠れあだ名が付いてもおかしくない程、小顔でスラっとしたスタイルでしたが、とても気難しい顔をして、笑い話のひとつもなく淡々と作業が進んでいきましたね。

でも僕が操作するWindowsがエラーメッセージを表示した時に

「でたよ、バグだよそれ、これだからWIndowsは…」って

言った時に、僕は、こっそり背を向けてクスリと笑っていましたよ。

首にはAppleのストラップにパカパカ携帯をぶら下げて、持参したノートPCはもちろんMac

一目でApple信者。と言わんばかりの風貌で、Windowsの悪口をいう姿。

とても面白かったです。

 

ある日、

「もともと僕もApple信者でしたよ?」僕がそう言うと「ダメだろ!Windows!あんなバグだらけのパソコン!ゴミだよ!ゴミ!」と、気難しい顔のまま冗談なのか本気なのか分からないトーンで僕に言っていましたね。

 

親密になったきっかけは、僕のWindowsへの悪口でした。

「F野さん、これどう思います?Windowsって買った時から「あなたのパソコンはウイルスに感染しているかもしれません」ってどういうことですか?」

そう僕がいうと、あなたは子供の様に無邪気にいつまでも笑っていましたね。

 

それがきっかけとなって仲良くなり、僕の会社へ仕事しに来てくれましたね。

最初は気難しい顔していたけど、仲良くなると、とても優しい顔をして笑って喋る人なんだなと

そして何より、AppleWindowsの話が毎回楽しくて、当時一番楽しかった仕事でした。

 

幾度となく仕事を一緒にさせてもらい、大手代理店の大手企業の「動画レシピ」

という仕事をご一緒した時、僕のクリエイター人生に大きく影響を受ける出来事がありました。

それはクライアント試写の時でした。

大手代理店「この文字の色はなんでこれなんですか?暗くないですか?」

大手企業「たしかにそうですね、これはちょっと…」

現場に気まずい空気が流れましたが、あなたは一言

F野「暗くないですよ、暗いですかこれ?暗いと思うなら変えますけど、そこから先は僕はやりませんよ、僕はこれがいいと思ってやってますから。」

そいう言い放って一度スタジオの外へ出ていきました。

勿論、慌てて代理店の方は追いかけました(笑)

僕はクリエイターでしたが、所詮サラリーだったので作業時間がかからない物はなるべく時間をかけて稼げ、作業時間がかかるものは更にゆっくりやって稼げ、そんな会社の方針にクリエイターの欠片も見いだせず嫌気がさしていたので、F野さんの言葉はとても胸に突き刺さりました。

その時僕が思ったのは(かっこいい…)

クリエイターとは何なのか?ものを創造するとはなんなのか?

クリエイターとしての真髄を目の当たりにしたことは今でも鮮明に覚えています。

そして今現在もクリエイターとして活動している僕の胸の中にしっかりと根付いています。

 

プライベートでも仲良くお付き合いさせていただきました。

F野さんが所属するフットサルに参加させてもらいました。

F野さんは元プロの選手でしたので、フィールドに出ると思いきや

なんとゴールキーパーで度肝を抜かれました。

F野さんは会社に来るお客様という位置づけでしたので、僕のサラリーマン根性がそうさせたのでしょうか、あまり思い切りボールを蹴れませんでした。

というか、正直自分より年上のしかも一回り位上の先輩にボールを思い切り蹴るだなんてことは出来ませんでした。

僕が1本目のシュートを蹴ると

あなたは最初に会った時のような気難しい顔をして僕に言いましたね

「お前、ちゃんと蹴ろよ!思い切り蹴ろよ!」

しっかりバレてました。

 

それとこんな事もありました。

脱サラしてフリーランス3年目くらいの時に

僕の家の近くにマンションが新築工事をしていました。

娘を保育園に送るために外へ出ると、どこかで見かけた姿の人が新築工事の外構の花壇の植木を植える作業をしていました。

あれ?と思い目を凝らすと、そこにいたのは汗まみれで泥だらけのあなたでした。

雨も降っていた日だったので、あなたはこちらに気が付いた感じでしたが、僕が変に気を使って見なかったことにしよう。人には人の色々な事情があるんだ。と、見て見ぬふりをしようと思っていました。

そして、それから何日か後、スティーブ・ジョブズから電話が来ました。

僕はきっとその事かな、と思いソワソワしながら電話に出たのでしたが、いつも通りの仕事の電話でした。

そのまま打合せの会話をしていましたが、あなたから工事の話が一向に出てこないので、なんだか僕は内に秘めておくのが気持ち悪くなって言ってしまいました。

そしたらあなたは

「え?うそ?そうなの?アチャーこりゃ不味いとこ見られたなぁ~はっはっはっは~」って笑っていましたね。

その後、あなたは知り合いに面白いからやってみ、だとかなんとか、僕になぜその仕事をやることになったのか色々説明していましたが、いいんです。僕は年齢を重ねても素直に正直にアチャーって言えるあなたがステキに思えたのです。

 

本当にたくさんお仕事を一緒に手伝わせて頂きました。

ただ、お仕事するということではなく、ビジネスの枠を越えた仲間だったと僕は勝手に思っています。

そしてF野さんから頂いた言葉や姿勢など、とても僕の人生の財産になっています。

病気のメール、最初に頂いた時にとてもショックでした。

そのあと、入院先からの電話、そして退院してからのテレビ通話。

そして、奥様からのメール…

あなたの顔を最後に見たのはあなたの大好きなiPhoneのカメラが映したあなたの顔でした。

 

 

「F野さん、ちょっと待ってくださいよ、歩くの速いですよ」

「そう?俺いつもこのくらいだよ、普通だよこんなの」

「いや、速すぎですよ、競歩ですよこれじゃあ」

 

「え?そう?俺はほら、足が長いから」

 

って六本木の街を2人で会社から駅まで物凄いスピードで歩いたの、

今でも早歩きすると、たまに思い出します。

 

 

どうぞ、安らかにお眠りください。

 

 

追記:スマホアプリのLINE、アイコンもしくはサムネ画像を変更すると通知が来ます。

   F野さんから通知が来てびっくりしました。

   奥様?の洒落の効いた画像、最高です。きっと天国で笑ってますよ。

 

 

いつか必ず時間を作って手を合わせに行きます。